この記事では、大手SIerに新卒で入社した私が社内SEに転職して後悔したことをご紹介します。
「社内SE」はIT業界での職種としては、ホワイトな働き方が実現できる人気の職種ですが、実際に1年働いてみて思ったマイナスポイントをこの記事ではご紹介します。
大手SIerから社内SEに転職して後悔したこと7選
システム開発ができない

社内での稟議資料の作成や、ベンダーコントロール等がメインの業務となるため、システム開発を行う機会は基本的にありません。パッケージソフトのカスタマイズ等のシステム開発が必要な場合は、外部ベンダーへ外注します。社内SEがシステム開発を行わない理由は、下記となります。
- メーカーなどのIT企業以外の企業の場合は社内にシステム開発のノウハウやスキルがない
- 社内でシステム開発を内製化したところで、取り扱うシステムは社内向けのシステムのみのため、費用対効果が低い
技術力が向上しない

システム開発を行わないのに加えて、ベンダーに依頼できる範囲の仕事は基本的にベンダーに依頼する傾向にあるため、ネットワーク機器のコンフィグ等も社内SEが変更や管理をしない場合が多いです。その場合は、要件を保守ベンダーに伝えて、作業も保守ベンダーに行ってもらう形で運用します。
個人的には、何か不具合が起きた時に何もわからないのは困るので、設定変更をする際にはどういった設定や仕組みになっているかは、都度確認するようにしていますが、ベンダーの責任範囲と割り切って丸投げにされてしまうケースが多いです。そういった面から、社内SEは技術力が向上しない傾向が強いです。
ITスキルの高い人が周りに少なくなる

SIerの場合は9割以上の社員がSEなので、ITスキルの高い人が周りに多かったのですが、社内SEになるとSEは会社全体の社員の1割にも満たない場合がほとんどです。具体的には営業や製造部門の社員が該当しますが、当然そういった方々はITの専門的な知識はもっていません。さらには社内SEであっても、人によってはPCのキッティング等の雑務しか行わない担当の人もいるので、ITスキルの高い人は極わずかの場合があります。
実体験としてSIerの場合は、IPAの高度情報処理資格を保持している人が半数以上はいましたが、メーカーでは社内SEの中でも高度資格を持っている人は1割以下です。
IT関係の資格の受験料の社内補助が出ない・昇格ポイントの対象にならない

例えばメーカー企業の場合は、営業員や製品開発・製造の人員が多くいるため、それに関連する資格の受験料は会社から支給があり、自己負担にならないのですが、社内SEは社員全体の内ごくわずかしかいないので、IT関連の資格は受験料の社内補助の対象になっていないことがあります。
例えばIPAの試験の受験料は7,500円(税込み)です。他にも、AWS関連の公式資格の受験費用は3万円+税ですので、自己負担になるとかなり大きいですよね…。
さらにはIT関連の資格は昇格条件のポイントの対象になっていない場合もあり、注意が必要です。
代表的なIT関連資格の受験料を下記にまとめました。
資格名 | 受験料(税込) |
---|---|
基本情報処理試験 | ¥7,000 |
応用情報処理試験 | ¥7,000 |
AWSソリューションアーキテクトアソシエイト | ¥16,500 |
AWSソリューションアーキテクトプロフェッショナル | ¥33,000 |
Oracleクラウドインフラストラクチャーファウンデーション | ¥12,540 |
Microsoft Azure Fundamentals | ¥12,500 |
Microsoft Azure Administrator | ¥21,103 |
社内での部署異動ができない

相対的にSIerと比べるとSEの人数が極端に少なくなるため、所属できる部署も少なくなります。会社によりますが、場合によっては「情報システム部」として一つの部課しかないこともあります。
SIerの場合は部署が多数あるので、人間関係がうまくいかなくなったり、新しい仕事がしたくなった場合には、社内で部署を異動することで解消できますが、社内SEの場合はその手が使えません。
上司のITに対する理解が乏しい

システム運用を担当している現場の社員から上席になっていくにつれ、上司のITに対する理解が乏しくなっていきます。稟議書など上席の承認が必要な手続きを行うのに、前提知識がない人向けに資料の作成や説明をする必要が出てくるため、不要な労力が増えます。
- 会社全体のITリテラシーが低い
- より上位の組織の責任者は情報システム部門だけでなく、他の部門(例えば経理や人事、総務など)の責任者を兼任している場合がある
- ITに関する業務を経験したことがない場合がある
社内からの問い合わせのレベルが低い

IT業界以外の会社の場合は、相対的に社内の人のITリテラシーが低いので、Googleで少し調べれば分かることでも電話やチャットで社内SEに問い合わせてくる場合が多いです。
これも社内SEの業務の一つではあるのですが、あまりにもレベルの低い問い合わせが続くとモチベーションの低下に繋がります。そういった場合は社内向けのQ&Aシステムを用意したり、社内のITリテラシー向上のための施策を考える等して対応します。
社内SEのやりがい・働きやすさ
ここまで社内SEになって後悔した点をご紹介しましたが、一方で社内SEは「IT業界におけるオアシス」と言われるほど他の職種に比べてワークライフバランスを重視できる働きやすさや、ユーザーと近い立場でシステムに携われるという大きなやりがいが魅力な職種です。そちらについては、下記の記事にて詳しくご紹介していますので、興味のある方は是非こちらも合わせてご参照ください!
社内SEのおすすめの転職エージェント

社内SEへの転職で後悔しないためには、複数の転職エージェントに登録するのがおすすめです。社内SEは企業あたりの必要人員が少ないだけでなく、ホワイト企業であるほど転職者も少ない可能性が高いため、たくさんの求人をチェックすることが大切です。
1位:リクルートエージェント
リクルートエージェントは、リクルートが運営する大手転職エージェントです。リクルートエージェントの強みは、非公開求人の多さ。登録することで、一般には公開されていないたくさんの求人情報をチェックできます。
もちろん、アドバイザーの丁寧な支援も魅力。提出書類の添削や面接対策など、初めての転職の際に役立つサポートも充実しています。
2位:マイナビIT AGENT
マイナビIT AGENTは、IT・Webエンジニア向けの転職エージェント。業界に特化した専門エージェントなので、業界の事情などに精通しているのが特徴です。マイナビIT AGENTでしか取り扱いのない求人もあると謳われています。
社内SEなど、IT業界での転職をメインに考えている方に特におすすめです。
3位:doda
dodaのエージェントサービスには「キャリアアドバイザー」と「採用プロジェクト担当」が存在します。キャリアアドバイザーは、カウンセリングから面接対策、転職先の決定まで、一貫して転職をサポート。採用プロジェクト担当は、企業側の採用担当と密にコミュニケーションを取り、企業側の事情に精通したうえで、応募者に求人を紹介します。専門スタッフによる丁寧なサポートが特徴です。
ホワイト企業の社内SEへ転職するコツ
ホワイト企業の社内SEへ転職するコツについては下記の記事にて詳しくご紹介していますので、ぜひこちらの記事もご参照ください。
コメント